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作品 工芸ぼんさい ・・・ 木賀輝子さん(1期)

  
同窓会会報17号に紹介された木賀さんの作品です。
若くして古典的な花道に精進し、その糧にと始めた「工芸ぼんさい」。 花道家であるとともに本物と見紛うような創造力溢れる工芸ぼんさい作家として独自の世界を歩む。
2013年春に八幡市民談話室で「市川ゆかりの作家展」。 今春は国府台の木内ギャラリーで「工芸ぼんさい・小さな四季の詩」作品展がありました。
  誰もが一番初めに描いたお花の絵といえば、チューリップではないでしょうか。
もしチューリップの葉がコスモスの葉だったり、もしコスモスにチューリップのような葉がついていたりしたら? 花と葉。木。木の姿。神の創造による植物。
それぞれの調和のなんと美しいことでしよう。
椿には椿の葉。松にはあの幹――でなくてはならないのです。
そこに色と姿が加わって、私のぼんさいの世界なんて、そんなところなのです。
まずイメージした作品との対話から始まります。
いつか、そこから、何かが見えてきます。
  さて材料は、パーツは、量(数)は、それがどんなに難しくやりにくくても、納得のいく素材に出会ったからには取り逃がすわけにはいかないのです。
もう他には何も見えていないのですから始末が悪い。
五葉松(文人)に例をとると
  長さ2.5cm程の細いワイヤーに緑のテープを、先をとがらせギリギリに縦巻き(色を塗ったように薄く)。40000本の針は5本ずつふっくらと品良くまとめ、90本~120本で一枝とする。その際、太くならないよう、なるべく細い枝に仕上げるのは至難なことで、どの過程も気の抜けない緊張の連続です。重い頭の重心のずれた幹を小さな浅い器に留められるはずはない。
十年も前から作りたいと思っていた五葉松の文人。 そして三年がかりでやっと手に入れたこの鉢との出会いは、なにがなんでも成功させなくてはならないのです。
  そして不可能が可能に変わる瞬間の達成感に酔いしれるのです。
パーツの数が少なくては、静けさは生まれて来ません。
すご~く苦労した所を全く見せないで、何事もなかったかのようにさらりと立って語りかけてくれる。    
  その声を聞きたくて続けているのです。
                        ( 木賀 輝子 )